2020年2月3日 (月)
刊行記念
『藤森照信のクラシック映画館』(青幻舎) 刊行記念
藤森照信 × 木村俊介 トークイベント
「娯楽の殿堂」として全盛期には7,000軒以上が存在していた映画館も、今やシネコンに押され、昔ながらの形を留める館は100軒もありません。本書は、消えゆく戦前の“クラシック映画館”について、フジモリ先生が丁寧に考察する書籍であり、「映画館史」を初めてまとめた画期的な一冊です。
歴史への考察は、江戸時代の歌舞伎や見世物小屋から説き起こされ、大正期の地方への爆発的な広がり、松竹・東宝との関係性、そして地方に奇跡的に残るクラシック映画館への探訪記と、読み進めるうちに映画館に対する原風景が浮かびます。
本トークでは、気鋭のインタビュアー、木村俊介さんもお招きし、フジモリ先生が体験された映画館建築への旅について、様々なお話を引き出していただきます。聞いた後は、映画館に足を運びたくなること請け合いです。ぜひお越しくださいませ。
※トークイベント終了後、サイン会も開催いたします。
プロフィール

藤森照信
建築史家。建築家。東京大学名誉教授。東京都江戸東京博物館館長。1946年長野県出身。東京大学大学院工学系研究科建築学専攻博士課程修了。1986年、赤瀬川原平、南伸坊らと路上観察学会を発足。1991年「神長官守矢史料館」で建築家デビュー。1997年「ニラハウス」で日本芸術大賞、2001年「熊本県立農業大学校学生寮」で日本建築学会作品賞受賞。著書に『建築探偵の冒険・東京篇』(筑摩書房)、『日本の近代建築』(岩波新書)、『藤森照信建築』(TOTO出版)など多数。

木村俊介
インタビュアー。1977年、東京都生まれ。著書に『善き書店員』(ミシマ社)、『料理狂』(幻冬舎文庫)、『仕事の話』(文藝春秋)、『漫画編集者』(フィルムアート社)、『変人 埴谷雄高の肖像』(文春文庫)、『物語論』(講談社現代新書)、聞き書きに『バンド』(クリープハイプ/ミシマ社)『調理場という戦場』(斉須政雄/幻冬舎文庫)、『芸術起業論』(村上隆/幻冬舎)、単行本構成に『西尾維新対談集 本題』(講談社)、『海馬』(池谷裕二・糸井重里/新潮文庫)などがある。
書籍情報

『藤森照信のクラシック映画館』
藤森照信 著・中馬聰 写真
“映画黄金期”と呼ばれた昭和30年代には7,000軒以上が存在していた映画館も、今や多くが消え、昔ながらの姿を留める館は100軒に満たない。本書では、世を風靡しながらも見過ごされてきた「映画館」の歴史を、藤森氏が丹念に掘り起こす。
浅草にはじまり、関東大震災後のバラックを経て、新宿(武蔵野館)、有楽町(日劇)へと爆発的拡大をとげ、大正期に全国へ広がった映画館はどのようにして作られたのか? 地方にわずかに残る映画館の探訪記も含む、「娯楽の殿堂」の特異な奇跡!!
僕らが毎週のようにつめかけた映画館は、どんな建物だったのかまったく覚えていない。
夏は通路の窓はあけられ、暗幕がカーテンがわりで、天井には形ばかりの扇風機がいくつか回っているだけだった。
それでも立ち見になり、ギュウギュウ詰めになり、やがて子供達は舞台によじのぼって、ゴロゴロ横になって、朝からズーッと同じ映画を暗くなるまで、見ていたっけ。昭和30年頃だったな。
−宮崎駿(本書帯文より)
〈目次〉
○まえがき: 藤森照信
○クラシック映画館への招待
高田世界館(新潟県上越市)/本宮映画劇場(福島県本宮市)
旧八千代館(京都市)/旭館・内子座(愛媛県内子町)
○映画館建築の歴史 (文・藤森照信)
1、浅草六区にはじまる
2、大正期の映画館
3、昭和の映画館
○映画館で語る
藤森照信×本宮映画劇場・田村修司
藤森照信×旭館・森秀夫
○写真家が覗いた”映画館東西”2007〜2019 (写真・文 中馬聰)